創作スピリッツと制作意図

写真作家としてやりたいこと ICE Shadow シリーズについて コントラストシリーズについて


コントラストシリーズについて

私の氷写真は、その中でも作風や趣旨によっていくつかの異なるシリーズがあるが、「ICE Shadow」とともに主力的存在となっているのが「コントラスト」シリーズである。このシリーズについて、少々述べておきたい。

私は学生時代より氷を被写体としてきたのだが、常に付きまとう問題があった。それは「混沌」である。

氷をマジマジと観察すると、それはキラキラと輝くとても美しい魅力的な被写体だが、同時に極めて混沌とした景色なのだ。写真は引き算であるとも言われるが、その例えが適切か否かはともかく、画面をある程度整理してすっきりさせておかないことには、写真としてとても観られたものではないのは確かだ。光り輝く美しい氷は思わずマクロで撮りたくなる被写体だが、その実、混沌とした景色を内包した最もマクロ写真に不向きな被写体なのである。

氷の、そんな内側部分の混沌とした景色も、何枚か撮っていけばある程度の写真になる事がある。そうしたレベルの氷写真ならば、そう多くはないまでも私以外にも撮っている人はいる。しかし、こんな面白く綺麗な写真が撮れました!と言って喜ぶのもつかの間、大抵は長続きしない。氷の内側部分というのは、一定レベルの写真をコンスタントに撮らせてくれるほどカメラマンフレンドリーな被写体ではない。氷のマクロで撮るなどお遊びか実験レベル、大抵その段階で足踏みをしたあげく他の被写体へ舞い戻っていく事になる。

だから多くの人は氷を撮るときは滝や沢などの氷を被写体にして、マクロレンズで強拡大するのではなく、少し引いたところから全体的・外面的なフォルムの美しさで捉えようとするのだ。でないと、およそ写真として成立しない。そのように氷の外側のフォルムの美しさを追うのであれば、問題はある程度回避できる。しかし、それは既に人の手によって開拓済みの作風であり、私が今さら手がける必要などないように思われる。写真作家を名乗る以上、他人様の作風などやっても意味はない。

ならば私はどうすれば良いか。単純な話しである。それが混沌とした景色ならば、その対になるようなすっきりした空間を設ければよい。それがこの「コントラスト」シリーズである。何もない空間と、混沌とした景色との対だから、「コントラスト」。するとどうだろう。いかに混沌とした景色を持つ氷が相手でも、否応なしに写真として成立してしまう。それだけではない。必ずしも全てがそうではないが、画面に適切な緊張感を伴わせることさえ可能になった。

これによって初めて私は多作を可能にし、作家活動を展開できるようになったのだ。

写真作家 谷田梗歌


 
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