創作スピリッツと制作意図

写真作家としてやりたいこと ICE Shadow シリーズについて コントラストシリーズについて


ICE Shadowシリーズについて

「ICE Shadow」シリーズ。私の一連の氷写真の中でも、コントラストシリーズと並んで現在主力格にある、このシリーズについて述べてみたい。

他稿において既に述べたように、私は「人間が当然に持っているはずの自然に対する純粋な畏敬の念」を写真のうちに込め、表現していく事を自らの写真表現の目的としている。そこでその題材として長年にわたって撮り続けているのが氷なのであるが、その中でも異形とも言うべき画面を見せているのが「ICE Shadow」シリーズである。

皆さんは氷というと何を思い浮かべるだろうか。

そう問われて何かひとつでも思い浮かぶものがあれば、私の狙いには既に半分以上近づいている。実在する素材にはそれが既知のものである限り、人は誰しも何かしらのイメージを持っているからだ。そうしたイメージは、対象と向き合うときの重要な情報源となるが、同時に先入観ともなる。そして、その先入観から離れてモノを見ることは存外に難しい。

そこで私は、素材の質感を徹底的に排除したシリーズを作った(※)。

それがこの「ICE Shadow」シリーズなのである。写真としては明らかなセオリー違反であることは重々承知の上だ。しかし素材の質感を排除する事で、見る人はそれを氷として認識しなくなる(出来なくなる)。ちなみにこのシリーズを展示するときの推奨サイズは全倍以上。質感だけではなく、大きさに対する感覚までをも奪うのだ。氷として認識出来なくなった当然の帰結として、人は先入観を抜きにして純粋に画面と対峙せざるを得ない、という経験をする。

大きく引き伸ばされたこの作品を目の当たりにして、人はそこに提示されているフォルムや陰影といったものと、クッションを介さずに直接向き合うのだ。するとどうだろう。それは山岳や樹木と何ら変わらぬひとつの自然の造形物として、静寂の中にも圧倒的な存在感をもって目に飛び込んでくる。

その感覚は、自然に対する畏敬と驚きを喚起するに足る体験となるだろう。

写真作家 谷田梗歌

※素材の質感を排除した写真と言ってしまうと、精彩さや美麗さに欠ける写真を想像されてしまう惧れがあるので補足しておくが、そういう意味での質感の排除ではまったくない。ここで言いたかった事を別の表現で言い換えれば、氷らしいイメージから想像される質感に対して背を向けている、という事である。こればかりはモニターではなく展示会場で観て頂くのが最善である。


 
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